近年『高校無償化』とよく聞きますが、どんな制度で条件などかお話したいと思います。
内容としては、授業料に充てるお金を支援してもらえる制度です。
当初は、2010年から高校無償化法により公立高校の授業料が免除され、私立高校においても同額で就学支援金が支払われる制度でした。
2014年に、「高等学校等就学支援金制度(旧制度)」と変更となっています。
2020年からは、私立高校授業料実質無償化が始まり、全国の約8割の生徒が利用しています。(参照:文部科学省ホームページ)
制度の目的・概要
この制度は、高等学校などによる経済的な負担を減らし、教育を受けやすくするための支援制度です。
国立・私立を問わない中で、所得要件などの要件を満たすご家庭のお子様に対して、国が一部または全部を支援しています。
世帯の所得と学校の種類などにより、支給の有無や金額が異なる制度です。
2020年から私立では590万円未満の世帯を対象としています。国立では、年収910万円の世帯を対象として、授業料相当額の支援を受けることができます。
支援対象者
(文部科学省ホームぺージ高等学校等就学支援金制度に関するQ&A参照)
平成26年度以降に高校等に入学する生徒が、現行制度における就学支援金の支給対象者になります。具体的には、以下の学校に在籍する生徒です。
・国公私立の高等学校(全日制、定時制、通信制)
・中等教育学校後期課程
・特別支援学校の高等部
・高等専門学校(1~3学年)
・専修学校(高等課程)
・専修学校の一般課程や各種学校のうち国家資格者養成課程に指定されている学校
・各種学校のうち一定の要件を満たす外国人学校(告示で指定)
【高等学校等就学支援金制度の対象として指定した外国人学校等の一覧】
ただし、以下の方は対象とはなりません。
・高校等を既に卒業した生徒や3年(定時制・通信制は4年)を超えて在学している生徒
・専攻科、別科の生徒や、科目履修生、聴講生 (専攻科については別に授業料等に対する支援があります)
・一定の基準を超える収入がある世帯の生徒
なお、休学等により平成26年3月以前から引き続き高等学校等に在学されている方は、公立高等学校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度(旧制度)の適用となります。
支給額について
(文部科学省ホームぺージ高等学校等就学支援金制度に関するQ&A参照)
公立高校では、全日制は月額9,900円、定時制は月額2,700円、通信制は月額520円です。 私立高校では、全日制・定時制・通信制ともに月額9,900円が支給され、加えて、 世帯所得や通う学校種により加算支給される場合があります。 また、単位制ごとに授業料が設定される課程に在学する場合は支給額が異なります。
所得要件の判断について
(文部科学省ホームぺージ高等学校等就学支援金制度に関するQ&A参照)
年収590万円・910万円というのは一つの目安であり、実際に所得要件の判定を行う際には、世帯の構成等をもある程度反映した以下の基準により判定を行います。
「課税標準額(課税所得額)×6% - 市町村民税の調整控除の額」で算出します。
算出した額が15万4,500円未満(年収目安590万円未満)であれば、私立高校授業料の実質無償化の対象となり、15万4,500円以上30万4,200円未満(年収目安910万円未満)であれば、基準額(11万8,800円)支給の対象となります。
「市町村民税の所得割の課税標準額」と「市町村民税の調整控除額」は、課税証明書等で確認することができますが、市町村によって記載されていないことがあります。その際は、マイナポータルを活用して、ご自身の市町村民税の課税標準額等を確認してください。
入学時に支援不可の判断された場合
入学時に対象外と判断されても、その後に基準を満たせば支給を受けることができます。学校や都道府県等でご相談をしたうえで都度申請できます。
世帯収入とは
制度上の世帯収入は保護者等の所得となっていますので、原則は親権者を指していますので、祖父母の所得は含まれていません。
保護者が離婚の場合
保護者の変更となるため、速やかに届け出る必要があります。支援額が増額される場合は、届出の次の月から支給されます。
保護者の変更となるため、速やかに届け出る必要があります。支援額が増額される場合は、届出の次の月から支給されます。
原則として、親権者の所得での判断となっています。子供に親権者がいない場合は、主に生計を維持しているものの所得で判断となり、その他の場合には、子供本人の所得により判断します。
申請に必要な書類の取得方法
入学説明会などの学校からもらうことができます。また、学校所在の都道府県に確認することもできます。
住居地と違う都道府県の学校でも対象となるのか
この制度については国の制度ですので、違う都道府県の学校でも対象となります。
ただし、各都道府県ごとにも支援事業がある場合は、各都道府県支援の要件を確認してください。
都道府県等の授業料免除制度
他にも各都道府県等が行う支援事業があることもあり、本支援とは異なるため併用することができるものもます。
就学支援金は授業料に充てる支援金ですので、授業料の減免が受けられる条件の方には、減免を受けた残りについて支援されることになります。また、奨学金と就学支援金は異なる制度ですので、就学支援の金額が減らされることはなく、原則、奨学金と就学支援金共に受け取ることが出来ます。
ただし、民間団体が行う奨学金の場合は、併給を認めていない制度もありますので、必ず事前にご確認ください。
高校生等奨学給付金
文部科学省から、授業料以外の教科書代や学校に必要なものなどを対象とする教育支援金もあり、これも返還不要となっています。
まとめ
高等教育支援金制度についてお話してきましたが、上記にもあるように全体の8割の家庭が利用している制度ですので、しっかり理解しておく必要があります。また、私自身も心配だったことや、ご相談を受けた内容も一緒に記載しておきました。
また、私立高校の無償化など、経済的にご決断できなかったご家庭にも選択できることが可能になってきたと思います。
子供たちの教育の機会を支援するため国や都道府県が積極的に支援していますので、学校や都道府県等に問い合わせて多くの支援を受けられるように情報を集めてください。